スポーツホスピタリティの進化
~信長だって興じていた!「スポーツ×ラグジュアリー」は日本の古くからの嗜み?~

観戦前に同じ試合を楽しむ参加者同士が「特別な場所」に集い、会食を楽しむ。試合開始後も常に用意されているお酒を片手に交流を楽しんだり、プライベートルームでの観戦も楽しんだりといった内容だ。海外で味わうようなラグジュアリーな空間を日本にいながらにして楽しめると話題となった。
日本では古くから、貴族や大名、戦国武将などの地方豪族や土着の長者たちが、それまで生き抜くための「武術」として人々に浸透していたものを競い合うことで楽しむ「競技=スポーツ」として遊興していたことは、意外と知られていない歴史かもしれません。例えば、日本人に人気の高い戦国武将・織田信長もそのひとりと伝えられています。信長の時代から400年以上の時が経過した現在。この日本では、スポーツを観戦する際、上質な食事とお酒と共に楽しみ、そこに集まる家族や仲間との時間を共有するスタイルが”再び”広がってきています。
日本で広がる「スポーツ×ラグジュアリー」という観戦の新しい楽しみ方

昨年、日本中を興奮させた『ラグビーワールドカップ2019』の記憶もまだ多くの皆さんに残っているのではないでしょうか。このとき、新たな試みとして“特別”な観戦のスタイルを提供し、好評を博したのが「スポーツホスピタリティ」。専用の個室やこだわりの空間での飲食、ギフトなどの上質なサービスと観戦チケットを組み合わせて提供する、欧米ではよく知られた観戦スタイルです。

「スポーツホスピタリティ」は、一生に一度しか出会えない対戦が組まれた一日を存分に堪能したい、誕生日や記念日などに特別な日の思い出に……という個人での利用から、スポーツ観戦にプラスして、食事やエンターテインメントの掛け算で特別な印象を与え、社内や取引先とのコミュニケーション強化を図りたい法人にも利用されています。いずれも、「ワンランク上の空間」を求める人々から高い支持を受けているのがこの観戦スタイルです。
あの英傑・織田信長も「スポーツをラグジュアリー」に楽しむのが好きだった!?

これまでの紹介で、日本人にとっては異文化のような印象を抱いた人も多いかもしれません。しかし、この楽しみ方。実は、日本にも歴史的に馴染み深いものだったのをご存じでしょうか?
戦国武将・織田信長の一代記を記した史料「信長公記(しんちょうこうき)」では、各地から集められた力士による取組を将軍が閲覧する「上閲相撲」を頻繁に開いていたとの記述があり、信長本人も屈指の相撲好きだったと言われます。その後、江戸時代には11代将軍・徳川家斉と12代・徳川家慶の時代に、江戸城で相撲が興行されていたとも記録されています。これらは、勇ましくぶつかり合う姿を目にすることで、自身が興奮をするというだけでなく、酒席を設けた“もてなし”と合わせ、友好を築きたい相手とともにする時間であったり、仲間である配下の武将と観戦を楽しみ共有したり、といったことから生まれる一体感のような関係の構築という狙いもあったと言われています。

信長の相撲だけではなく、行事や神事として古くは、宮中で行われた競射(きょうしゃ)や打毬(だきゅう)とよぶポロのような遊戯、蹴鞠(けまり)といった球技など、競技をする者とそれを観覧する者とで楽しむある意味での「スポーツ」のかたちは日本に広く伝え遺されています。武芸として流鏑馬(やぶさめ)、笠懸(かさがけ)などを地域の祭や神社仏閣で行われるイベントで多くの観客の歓声を集める様子に見覚えもあるでしょう。このような場でも、競技を観るだけでなく食事や現場で人々の交流が深まる行楽行事として1日を通じたパッケージになっていたことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
多くの仲間をもてなし、感動を共有するのは昔から変わらぬスタイル

前述の織田信長をはじめとした“時の実力者たち”は、スポーツ観戦が組織の醸成、コミュニケーション強化に効果があることを知っていたのかもしれません。スポーツをイベントとして興行することで、関係する人々に特別感を与え「関係深化のツール」として活用できることをよく理解していたのではないかとも思えます。事実、昨年のラグビーワールドカップ2019で同様にプレミアムなスポーツ観戦体験を得られる「スポーツホスピタリティ」プログラムに招待されたお客様からは、「特別なおもてなしと良席での観戦が一生の思い出になった」という感想や「海外の方を含め、他のプログラム参加者とのふれあいができたことが何よりもチケットの価値を感じた」といった感想が挙がっています。
日本の歴史を辿ってみても「スポーツホスピタリティ」のような文化は、贅沢で一部の人だけのもの、欧米のセレブの流儀…などと遠い存在なのではなく、日本人のDNAに連綿と受け継がれた馴染み深い観戦スタイルと感じられませんか?かつて戦国の世を生きた英傑たちのような嗜みを知り、体験し、楽しむ。それは金額以上の価値を与えてくれるかもしれません。